20年ほど前は、スウェーデンでも「ダサい」印象があったセカンドハンド。
今では、若者もお年寄りも、移民もスウェーデン人も、み〜んな!
オシャレな人ほどセカンドハンドを愛用しているようです。
私もその一人。セカンドハンドを見かけると、知らない内に足が向かっていることがしばしば・・・。
キッチン用品はもちろん、ベランダの花壇のアイテムも、まずはセカンドハンドで手に入らないか確認します。
では、一体、スウェーデンのセカンドハンドはどうやってこのような地位を築いたのでしょうか?
実際のところ、どのくらい人気なの?と疑問に思っている方もいるかもしれませんね。
スウェーデンで暮らしてみて、どんな田舎に行ったとしても、一つは見かけるのがセカンドハンド。値段がお安いこともあり、見かけると思わず立ち寄ってしまいます・・・。
セカンドハンドが人気なのは、田舎だけではありません。スウェーデンの大阪、ヨーテボリには、町の中心部で立地条件の良い場所にも、4店舗ほどが営業しており、休日ともなると掘り出し物を探す人で店内はごった返しています。
調べてみると、スウェーデン全土で約250ものお店が存在しているようです!(1)
少し想像しにくいかもしれませんが、スウェーデンの人口は東京都と同じくらいということ、スウェーデンの病院の数が約80ということを考えると、セカンドハンドの人気ぶりが伝わるのではないでしょうか(2)。
20年ほど前は、「ダサい」印象があったセカンドハンド。
一体、何がセカンドハンドを「かっこいい」存在にしたのでしょうか?
①コスパが最高。
半額以下は当たり前。すてきなワイングラスなど、四分の一ほどの値段で購入できるセカンドハンドは、コスパが最高です。年々物価が上がっているスウェーデンでは、セカンドハンドが大活躍。ほしいものがあったら、まずはセカンドハンドで探してみるという意見をよく聞きます。
②個性が出せる。
オシャレな人の間では、流行に惑わされない「わたくし流」のファッションアイテムを探す場として、セカンドハンドが重宝されています。手作りのマフラーやニット帽、古い革ジャンなど、ホンモノの古着をお安く入手できるとあって、ファッションに敏感な人ほどセカンドハンドを愛用しているようです。
③寄付できる。
セカンドハンドは、赤十字などの慈善団体によって運営されています。売上金は助けを必要としている方に届けられます。店員さんは、もちろんボランティア。買い物だけでなく、寄付ができるとあって、何となく気分がいいという人も多いようです。ちなみに、セカンドハンドで売られている商品も、寄付されたもの。例えば、使わないお皿をセカンドハンドに持っていくと、寄付できるという仕組み。いらないものは捨てるのではなく、寄付する。私も大好きで、使わないものは、よくセカンドハンドに寄付しています。
④エコ。
スウェーデンらしいですよね。セカンドハンドで買い物をする理由の一番に挙げられるのが、「エコだから。使えるものをゴミにするのはもったいない。」電気自動車を選び、地球環境のためにお肉を控え、自宅の屋根にはソーラーパネルを設置する。地球環境のことを最優先して考える、とてもスウェーデン人らしい理由です。
さて、日本と比べてみると、慈善団体によって運営されている点が、大きく異なっているのではないでしょうか。
無料で入手した商品を売って、利益は困っている人へ届ける。
泡だて器の頭の部分だけが売られているのをみて、本当にビックリしたのですが、セカンドハンドでは何でもあり!確かに、型が合うなら捨てるのはもったいないですよね・・・。
日本と同じくゴミの分別に厳しいスウェーデン。まだ使えるものは、ひとまずセカンドハンドへ寄付した方が楽ということもあるかもしれませんが。
最後に、セカンドハンドが「かっこいい」存在になった理由は、お財布、環境、困っている人に優しい選択ができるから、と言えるのではないでしょうか。
セカンドハンドは慈善団体によって運営されており、ボランティアの方がスタッフをしてくださっています。
そのためか、営業日は週に数回という場合も多く、近所のセカンドハンドの営業日は水曜日と土曜日。服、本、おもちゃ、おまけに家具と、品揃えが豊富!
ベビーカーも楽々。広い店内には、キッチン用品が並びます。
大量のDVDや本。
家具もそろっています。
かわいいコーヒーカップのセット。Fikaにピッタリ!
オシャレなアート作品まで。本当に何でもそろっています。
お店を訪れたのは3月。イースターの前とあって、カラフルなアイテムが並んでいました!
スウェーデンのセカンドハンド事情、イケメンすぎます。
恋してしまう!
か弱いものと地球を救うため、みんなが協力しているんですね・・・。
さて、最後に「エコ」を新しいブランド戦略にしている、スウェーデンの高級子供服ブランド ”Polarn O. Pyret” (ポーラン・O・パイレット) の「3人が着られる服」の取り組みをご紹介します。
そう、ポーラン・O・パイレットでは、まだ使える商品を買取り、店舗で販売しているのです!
ブランドディレクターは、2022年に始まったこの取り組みについて「新品と同様に中古品が店頭に並ぶことに誇りを持っております。陳列された服を見て、数人の子供が使用して、何度も洗濯されたあとでも、その衣服がどれほど素晴らしいかを確認すると、それぞれの衣服を少なくとも 3 人の子供に着てもらうという私たちの理念が、本当に正しいことがわかります。」と述べています(3)。
実際に息子を授かって思ったことですが、子供服って、本当によく汚れる!
一日に3回着替えることが普通。何十回と洗濯機で洗うからこそ、生地が良いものとそうでないものの差が痛いくらいによく分かります・・・。
年配者の中には、子供たちのために環境問題を意識している人も多いスウェーデン。
子供服を購入する際に、長く使える生地が強いものを購入したいというニーズが高いことが伺えます。
さて、スウェーデンのハイブランドも「セカンドハンド」に重きを置く時代。
日本のハイブランドは、どうなるのでしょうか・・・?
参考文献
(1)Många vill tjäna pengar på second hand(参照2024-03-14)|Tidningen näringslivet
(2)Jämförelse av kostnader och verksamhet på sjukhuskliniker 2011(参照2024-03-14)|
https://skr.se/download/18.5627773817e39e979efbb001/1643287829915/7164-902-7.pdf
(3)Pre Loved viktigt för Polarn O. Pyret(参照2024-03-14)|Svensk handel